日本赤十字社 水戸赤十字病院

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医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第37回は、小室 情報化統括監に「病院業務のIT化」についてインタビューしました。

第37回
病院業務のIT化について
小室 情報化統括監

Q 小室さんは現在「情報化統括監」として務めていますが、どのような役職なのでしょうか?

職場におけるICT環境の改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、電子カルテのセキュリティ対策、業務システム導入および維持管理の最適化、働き方改革などを担う推進役として取り組んでいます。
現在はこれらの課題に具体的にどのように取組むべきか検討・実践しながら、最終的には患者さまへのサービスの質の向上と、職員の業務負荷軽減の両立を目指しています。

Q 病院の情報システムとは、どのようなものがあるのでしょうか?

効率的に患者さまをサポートするため、当院ではさまざまな情報システムを活用しています。中でも、2020年から運用を開始した電子カルテが中心的な役割を担っています。電子カルテは、従来の紙カルテを電子化することで、院内の各部署から診療情報を共有できる仕組みです。
具体的には、医師が診察結果を電子カルテに入力し、検査が必要な場合は検査室へ依頼をします。検査室ではその依頼内容を確認して検査を実施し、終了後に検査結果を電子カルテへ入力します。医師はその検査結果を即座に確認することができます。
また、診察が終了すると診療内容が医事会計システムへ自動的に転送され、医事課にて医療費の計算が行われます。 そのほかにも、レントゲン画像を管理するシステムや薬剤管理システムなどがあります。多くの情報システムが電子カルテと情報を共有し、診療の効率化と患者さまへのサービス向上を図っています。

Q 電子カルテのセキュリティ対策とありましたが、多くの情報システムを扱うとなると、患者さまの大事な情報が外部に洩れてしまわないか、不安に感じる方もいるのではないでしょうか?

当院の電子カルテは、インターネットから遮断した環境で運用しており、各種セキュリティ対策も組み込まれています。しかし近年、医療機関がサイバー攻撃の標的となり、攻撃を受けた病院が長期間にわたり診療を停止せざるを得なくなったというニュースも増えています。
また、地震や水害などの自然災害によって、患者さまの大切なデータが失われるリスクも考えられます。こうした事態によって必要な医療の提供が滞ることのないよう、万が一の際にもできる限り短時間で復旧できる体制を整えることが重要です。
そのため当院では、情報セキュリティ対策のさらなる強化に加え、データのバックアップ体制や保管方法の見直し、システム再開手順の策定と確認、訓練や研修など、さまざまな観点から継続的な改善に取り組んでいく考えです。

Q デジタルトランスフォーメーションとありましたが、どのようなものがあるのでしょうか?

健康保険証とマイナンバーカードの一体化があります。マイナンバーカードは、健康保険証の代わりとして利用できるほか、患者さまの同意を得ることで、他の医療機関での処方内容や手術情報、受診歴、過去の特定健診の結果などを医師が確認でき、より適切な診療につなげることができます。
当院でもマイナンバーカードを利用した保険証確認を対応できる体制を整えています。
マイナンバーカードが普及し始めたころ、健康保険証情報に別の人の情報が登録されてしまった事例もありました。これらはシステム上の不具合ではなく、手作業による登録時の入力ミスが原因であったとされています。

※2025年12月2日からマイナ保険証での受付が原則となりました。

Q 将来的には、マイナンバーカードは健康保険証の代わりとして利用するだけではなく、さらに幅広い役割を担うようになるのでしょうか?

厚生労働省は、2022年開始した「医療DX令和ビジョン2030」の中で、全国医療情報プラットフォームの構想を掲げています。各医療機関で異なる電子カルテを標準化して、医療機関同士で連携をスムーズに行える仕組みも進められています。
これらにより、将来的には紹介状が不要となり、マイナンバーカード1枚で医療機関を受診できる時代が訪れるかもしれません。

Q 国としても医療分野におけるデジタル化が積極的に進められていますが、最後に水戸赤十字病院として、デジタル化に対する考えを教えてください。

医師や看護師は、治療や看護が主な業務であるため、これまで当院におけるIT化・デジタル化は、やや遅れがちであると言われてきました。しかし今後は、当院独自の視点でデジタル化を進めることで、患者さまへのサービス向上につなげられないかを検討していきたいと考えています。
また繰り返しとなりますが、情報セキュリティ対策のさらなる強化にも取り組んでいきます。加えて、デジタルが得意でない患者さまにも便利に使っていただけるIT化を推進していきたいと考えています。
さらに、国の「医療DX令和ビジョン2030」にも遅れることなく対応し、時代に即した医療体制の構築を目指してまいります。

当記事は、令和5年9月22日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。