医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第39回は、小山 臨床検査技師に「身近に潜む病原体」についてインタビューしました。

Q 私たちの身近にも病原体は潜んでいるのでしょうか?
私たちの身の回りには、目には見えないさまざまな病原体(ばいきん)が存在しており、日常生活の中で知らないうちに感染症にかかる可能性があります。
病原体について正しく理解することは、感染症を予防し、リスクを回避することにつながります。
今回は「食べ物」と「動物」の2つをテーマに、身近に潜む病原体について説明いたします。
ご紹介する病原体はいずれも、実際に当院で検出されたことがあるものです。
Q 食べ物に潜む病原体には、どのようなものがあるのでしょうか?

食べ物に関係する病原体といえば、代表的なものが食中毒です。中でも「カンピロバクター」と「サルモネラ」は、日本での報告例が多い病原体として知られています。
カンピロバクター腸炎は、当院でも比較的よく検出される感染症です。主に動物の肉、特に鶏肉に潜んでいることが多く、感染すると腹痛、発熱、嘔吐、下痢といった症状が現れます。
また、初夏から秋にかけて患者さまが増える傾向にあります。この時期はバーベキューを行う機会も多く、生焼けの肉を食べることで感染してしまうケースが少なくありません。
Q サルモネラは、どのような病原体なのでしょうか?
サルモネラは、食中毒の原因としてよく知られている病原体です。鳥や豚、牛などの腸管内に存在していることが多い菌です。
特に、鶏の卵や動物の肉を介して感染するケースが多く、感染すると下痢、腹痛、嘔吐、発熱といった症状を引き起こします。
Q 食中毒を予防するためには、どのようなことに気を付ければよいでしょうか?
食中毒は日常生活の中での、ささやかな心がけで予防することができます。
基本となるのは「十分な加熱調理」、「こまめな手洗い」、そして体調が悪いときには生ものを控えることです。
また、食中毒にかかり症状が治まった後も、しばらくの間は病原体を体外に排出し続ける場合があります。そのため、回復後であっても、特にトイレの後の手洗いは丁寧に行うことが大切です。
≪ここでクイズです≫
サルモネラ菌は、食べ物だけではなく、ある動物に潜んでいる確率が高く、感染の原因になることがあります。その動物は何でしょう?
(ヒント)
・みなさんも一度は目にしたことがある爬虫類です
・飼ったことがある方もいるかもしれません
・以前はお祭りの屋台などでも見かけました
Q 動物に潜む病原体について教えてください。

ミドリガメからのサルモネラ感染のように、動物から人へ、また人から動物へ感染する感染症は「人畜共通感染症」と呼ばれています。
病原体の中には、動物の体内にいる間は症状を起こさなくても、人に感染すると病気の原因になるものがあります。
今回は、その中でも犬や猫から感染しやすい細菌である「パスツレラ」についてご紹介します。
Q 犬や猫を飼われている方も多いと思いますがパスツレラとはどのような病原体なのでしょうか?
パスツレラは犬や猫など哺乳類の口腔内に存在する細菌です。動物に噛まれたり、引っかかれたりすることで人に感染することがあります。感染すると、腫れや痛みなどの皮膚症状を引き起こしたり、まれに菌が血液に入り込み、敗血症を引き起こしたりする場合もあります。
当院においても、動物による咬傷をきっかけに受診された患者さまから、パスツレラが検出されることがあります。
≪ここでクイズです≫
パスツレラは、犬では約15%~75%が保有しているといわれています。 それでは、猫はどのくらいの割合で保有しているでしょうか?
Q 動物からの感染を防ぐには、どのような点に気をつければよいでしょうか?
動物からの感染を防ぐために大切なのは、ペットを含めた動物との適切な距離を保つことです。
家族同様に大切にされている方も多いと思います。しかし、接し方によっては感染症の原因となることがあります。
たとえば、口移しでの食事や過度なスキンシップは、飼い主が病気になるきっかけとなることがあり、結果的に動物にとってもつらい出来事になってしまいます。
動物からの感染を防ぐためには、次の3つを心がけましょう。
- ペットとの適度な距離を保つこと
- 室内の清掃をこまめに行い、ペットを清潔に保つこと
- 動物や野生動物に触れた後は、手洗いを行うこと
日常生活の中で少し意識するだけでも、感染症の予防につながります。
Q 最後にひとことお願いします。
当院の臨床検査部細菌検査室では、身近に存在するさまざまな病原体に対応できるよう、臨床部門と連携しながら日々の業務に取り組んでいます。
また、院内の多職種のスタッフと協力し、院内感染の防止や抗菌薬の適正使用を推進する活動も行っています。
特に、感染制御チーム(ICT)には、専門資格を有する医師・看護師・薬剤師・検査技師が所属し、院内感染対策や職員への研修などを通して、患者さまが安心して受診できる医療環境の維持に努めています。
今後も検査を通して、地域医療へ貢献できるよう努めてまいります。
当記事は、令和5年10月6日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。