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第41回は、野澤 院長に「男性必聴⁉前立腺肥大症の治療」についてインタビューしました。

第41回
男性必聴⁉前立腺肥大症の治療
野澤 院長

Q 野澤院長は泌尿器科が専門とのことですが、どのような疾患を扱う診療科なのでしょうか?

泌尿器科は、血液の浄化を目的に尿を作る腎臓、尿を溜めたり排出したりする「尿の通り道(泌尿器)」と、男性の生殖器に関する病気を扱う診療科です。
身近な疾患としては、比較的女性に多い膀胱炎がよく知られています。
そのほか、腎臓・膀胱・尿管・尿道に関する病気や、前立腺を含む男性生殖器の疾患を扱っています。がんだけでなく、感染症、尿路結石、過活動膀胱や夜間頻尿などの排尿に関する症状、そして今回のテーマである前立腺肥大症なども、泌尿器科で診療する主な疾患です。

Q 前立腺肥大症とは、どのような疾患なのでしょうか?

前立腺とは、精液を作る臓器で膀胱の出口に位置し、その中央を尿道が通っています。その前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することで起こる疾患が前立腺肥大症です。
尿道をゴムホースに例えると、前立腺が大きくなることで、ホースを両側から指でつまんだような状態になり、尿の通りが悪くなるイメージです。
70歳以上の男性では約7割に前立腺の肥大が認められるという報告もあります。ただし、そのすべての方に治療が必要なわけではなく、実際に治療が必要となるのは約4分の1程度とされています。

Q 前立腺が肥大すると、どのような症状が現れるのでしょうか。

尿道が狭くなることで、尿の勢いが弱くなる、尿が出し切れないといった症状がみられるようになります。
そのほかにも、排尿に時間がかかる、トイレが近くなる、急に尿意を感じて我慢しづらくなるといった症状が現れることがあります。
前立腺肥大がさらに進行すると、尿が全く出なくなる尿閉を起こしたり、膀胱結石や腎機能障害の原因になったりする場合もあるため、注意が必要です。
また、前立腺肥大症のある方は、飲酒や市販の風邪薬・鼻水止め・かゆみ止めなどの内服をきっかけに尿が出にくくなったり、尿閉を起こしたりすることがあります。

Q 前立腺の治療について教えてください。

治療は、まず薬物療法から始めます。前立腺や尿道の緊張を和らげ、尿が出やすくなるようにする薬を使用します。薬で十分な改善が得られない場合や、症状が重い場合には、手術治療を検討します。当院では、HoLEPというレーザーを用いた内視鏡手術を、前立腺肥大症の標準的な治療として行っています。
前立腺肥大症では、尿道の周囲にある「内腺」と呼ばれる部分が大きくなります。前立腺をみかんに例えると、実の部分が内腺、皮の部分が外腺にあたります。
尿道から内視鏡を挿入しレーザーを使用して、みかんの皮から実をはがすように内腺だけをくり抜く手術です。この方法は出血が少なく、身体への負担が比較的少ないことが特徴です。

Q このほかにも治療法はあるのでしょうか?

ほかにもいくつか治療法があります。ひとつは、内視鏡下で前立腺に小型の杭(インプラント)をいくつか留置し、前立腺を圧迫しながら吊り上げ尿道を広げる治療(UroLiftシステムによる治療法)です。前立腺の組織を切除したり焼いたりしないため、身体への負担が少ないのが特徴です。手術時間や入院期間、術後の尿道カテーテルを入れている期間が短くすむため、ご高齢の方にも行いやすい治療方法です。
もうひとつは、水蒸気の熱を利用した治療(WAVE治療)です。高温の水蒸気を前立腺内に注入し、前立腺組織を加熱し壊死させます。壊死した組織は1か月から3か月かけて自然に吸収され、尿の通りがよくなっていきます。
これらの治療法は、患者さまの年齢や全身状態、前立腺の大きさなどを考慮し、一人ひとりに合った方法を選んでいます。

Q 水戸赤十字病院でもこうした治療は受けることはできるのでしょうか。

当院は、前立腺肥大症に対する複数の治療を行っています。
HoLEP手術は、県内はもちろん全国的にも早い段階で導入しており、これまでに1,000例以上の治療実績があります。
また、インプラントを用いて前立腺を吊り上げる治療(UroLiftシステムによる治療法)や、水蒸気の熱を利用した治療(WAVE治療)についても、保険診療として受けていただくことが可能です。
残尿感や頻尿といった症状は、「年齢のせいだから」と我慢してしまう方も少なくありません。しかし、夜間の頻尿は転倒のリスクを高めるなど、健康寿命にも影響するといった調査結果もあります。
気になる症状がある方は、どうぞ遠慮なく早めに医師へご相談ください。

当記事は、令和5年10月27日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。