医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第43回は、重藤 看護師長に「高齢者の脱水予防」についてインタビューしました。

Q 脱水とはどういう状態なのでしょうか?

脱水とは、体の水分バランスが崩れてしまい、水分量が不足している状態です。体重の約3%以上の水分が失われた場合「脱水症」とされます。たとえば体重60㎏の方では、1.8Kg以上の水分が失われた状態にあたります。
体内の水分(体液)は、酸素や栄養素を全身に運び、老廃物を体の外へ排出する働きを担っています。また、汗や尿として排出されることで体温を調節するなど、体の状態を保つうえで重要な役割を果たしています。
なお、体重の1~2%程度の水分が失われた状態は、「隠れ脱水」とも呼ばれ、自覚症状が少ないため注意が必要です。
Q どのような方に脱水は多いのでしょうか?
脱水はどの年代にも起こりうる症状ですが、特にご高齢の方は脱水を起こしやすく、重症化すると命に係わる危険な状態になることがあります。
2022年の統計では、65歳以上の方は全国人口の29.1%、75歳以上の方が15.5%を占めています。およそ6人に1人が75歳以上という状況ですので、今回は高齢者の方の脱水予防についても説明します。
Q どうして高齢の方は、脱水を起こしやすいのでしょうか?
赤ちゃんと高齢の方の体内の水分量を比べると、赤ちゃんは体重の約75%が水分であるのに対して、成人では約60%、高齢者では約50%と少なくなります。
年齢を重ねると、水分を蓄える細胞の割合が減り、代わりに脂肪の割合が増えるため、体内に水分をためにくくなることが一因とされています。
さらに、高齢になると腎臓の働きが弱くなり、体内の老廃物を排出するためにより多くの水分が必要になります。 加えて、のどの渇きなど体の水分不足を感じる力が低下することや、「夜間のトイレを避けたい」と水分摂取を控えてしまうことも、脱水を招きやすい要因です。
そのほか、腎臓や心臓などの持病があり、利尿薬を服用している場合も脱水のリスクが高まる傾向があります。
Q そのほかにも脱水になる原因はありますか?
下痢や嘔吐、発熱などの体調不良があるときや、食事量・水分摂取量が少なくなっているときは、脱水を起こしやすくなります。
また、炎天下での屋外作業やビニールハウス内での作業などで大量に汗をかいた場合も、体内の水分が失われ、脱水になることがあります。
脱水は暑い夏に多いイメージがありますが、冬でも注意が必要です。暖房を使用している室内で水分をあまり取らずに過ごしていると、気づかないうちに脱水が進むことがあります。
Q 脱水の兆候はありますか?
脱水が進むと、口の中が乾いたり、皮膚がかさかさしてきたりします。通常はしっとりしていることが多いわきの下も、乾燥してくることがあります。
また、尿の回数や量が減る、目がくぼんで見える、元気がなくぼんやりする、といった変化がみられることもあります。
さらに脱水が進行すると、血液が濃くなり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすリスクが高まるといわれています。重症の場合には、意識がもうろうとするなどの症状が現れることもあります。
炎天下や高温の環境(ビニールハウス内など)で作業中に倒れてしまったというニュースが時折聞かれますが、こうした背景には脱水が関係している可能性もあります。
Q 脱水にならないためには、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?
脱水を防ぐためには、意識して水分を補給することが大切です。
一度にたくさん飲むのではなく、少量ずつこまめに補給するようにしましょう。
また、炎天下での作業や激しい運動は熱中症のリスクが高まるため、できるだけ避けることが望ましいです。 暑い日は冷房を適切に使用し、室温や湿度を調節しましょう。
室温の目安は、夏は28℃、冬は20℃前後、湿度は50%程度が目安とされています。 エアコンに加えて扇風機を併用すると、空気が循環し、より効果的に体温調節ができます。
Q そのほかにも予防法はありますか?

「のどが渇いた」と感じたときは、すでに体の水分が不足し始めているサインかもしれません。のどの渇きを感じたら、早めに水分を取りましょう。
のどの渇きを感じにくい方は、時間を決めてこまめに飲む習慣をつけることをおすすめします。病気などで水分制限のない場合は、1日に必要な水分量は、食事から約1,000ml、飲み水として約1,200mlが目安とされています。
また、入浴中や睡眠中も汗かくため、水分が失われます。入浴後や朝起きたときに水分を補給するとよいでしょう。
汗を多くかいた場合は、水分だけではなく電解質の補給も大切です。麦茶はミネラルを含む飲み物として知られています。脱水傾向がみられた場合は、経口補水液や経口補水ゼリーの活用もおすすめです。
水分を多く含む果物を取り入れるのもよい方法です。
なお、アルコールやカフェインを多く含むコーヒーなどの飲み物は利尿作用があるため、水分補給としては適していません。取り過ぎには注意しましょう。
当記事は、令和5年7月のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。