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第40回は、皮膚科 小林医師に「食べ物アレルギー」についてインタビューしました。

第40回
食べ物アレルギーについて
皮膚科 小林 医師

Q 食べ物アレルギーを起こしやすい食品には、どのようなものがありますか?

食べ物アレルギーの原因として多いのは、卵、牛乳、小麦です。近年では、ナッツ類や魚卵によるアレルギーも増えています。
また、大人になってから発症するケースもあり、えび・かになどの甲殻類、そば、果物、魚などが原因となることがあります。
食べ物アレルギーは、食品に含まれるたんぱく質に対して免疫のシステムが過剰に反応することで、さまざまな症状が現れます。

Q どのような症状が現れるのでしょうか。

食品を食べた直後に、かゆみやじんましんが現れるタイプを「即時型アレルギー」と呼びます。
そのほか、まぶたや唇の腫れ、口の中の違和感やかゆみが出ることもあります。さらに、咳が出たり呼吸をすると「ぜーぜー」と音がするなどの呼吸器症状、腹痛、下痢、嘔吐といった消化器症状がみられる場合もあります。重症になると血圧が低下することもあります。
これらの症状が強く現れた場合は、アナフィラキシーと呼ばれる重篤な状態で、注射などの緊急治療や入院が必要になることがあります。

Q 食物アレルギーはどのくらいの方にみられるのでしょうか?

調査方法によって差はありますが、3歳児健康診断では約20%、小学生から高校生を対象とした調査では約2.3%と報告されています。
実際に食品を食べて確認した調査では、17 歳までが 約2.6% 、成人では約 0.9%でした。
一般的に食物アレルギーは乳児期に多くみられ、成長とともに少なくなる傾向があります。

Q 大人になると、アレルギーは減るのでしょうか?

乳幼児期に発症した食物アレルギーの中には、成長とともに改善するものがあります。
たとえば、卵・牛乳・小麦・大豆などは、年齢を重ねることで耐性がつき、食べられるようになる場合があります。
一方で、学童期(おおよそ5~12歳ごろ)以降に新たに発症した食物アレルギーは、耐性がつきにくいと言われています。
また、これまでにどの程度強い症状が出たかによっても、耐性のつきやすさは異なります。
そのため食品を再開するかどうかは、自己判断せず、必ず主治医に相談することが大切です。

Q アレルギーを予防する方法はあるのでしょうか?

食物アレルギーは、食べて消化管から入る経路よりも、食品が皮膚に触れることでアレルギーを獲得しやすいといわれています。
たとえば、赤ちゃんの口の周りに食べ物が付いたままになっていたり、仕事や家事の中で、手や腕に小麦や魚などの成分が付着したままになっていたりすることもあると思います。
そのため、皮膚に食品が付着した場合は、長時間放置せずに、早めに拭き取ったり洗い流したりすることが大切です。
また、食品が直接皮膚に触れないように、ワセリンなどで皮膚を保護することや手袋を着用することも有効な対策と言えます。

Q 食物アレルギーはどのように診断されるのでしょうか?

食物アレルギーの診断は、何を食べたか、どのような症状が出たか、症状が出るまでの時間、そのときの状況を詳しくお伺いします。
受診の際には、あらかじめ食事内容や症状の経過をメモしておくと、診断の助けになります。
一般的な「即時型アレルギー」では、食べてから1時間以内に症状が現れます。
一方で、すぐに症状が出ない食品もあり、たとえば納豆アレルギーでは、数時間後に症状が出ることもあります。
また、普段は問題なく食べられている食品でも、運動や入浴、気温の上昇、体調不良など、体に負担がかかる状況が重なることで症状が現れることがあります。これを「運動誘発アナフィラキシー」 と呼びます。
このタイプでは、小麦やかに・えびなどの甲殻類が原因となることが多いとされています。

Q それでは、診断のためにはどのような検査があるのでしょうか?

即時型アレルギーの検査で一般的なのは、採血検査です。
アレルギー症状を引き起こすIgE抗体の量を調べます。疑わしい食品がはっきりしない場合には、アレルギーを起こしやすい複数の食品をまとめて検査する方法もあります。
ただし、検査が陽性でも実際には症状が出ない場合や、逆に検査が陰性でも症状が出る場合もあります。その検査結果だけで判断せず、症状の経過や状況を総合的にみて判断します。
より詳しい検査として、プリックテストと呼ばれる皮膚テストがあります。
食品の成分を針の先につけ、皮膚に軽く刺して赤く腫れるかどうかを確認します。
また、疑わしい食品を少量から実際に食べていただく、食物経口負荷試験を行うこともあります。安全に配慮しながら、医師の管理のもとで実施します。
さらに先ほどお話した「運動誘発アナフィラキシー」が疑われる場合には、原因と考えられる食品を摂取した後、ランニングマシンなどで運動負荷をかける検査を行うこともあります。

Q 診断後、食物アレルギーの治療にはどのような方法があるのでしょうか?

まずは、原因となる食品を特定し、それを避けることが基本となります。
症状が出た場合には、抗ヒスタミン薬を内服して治療を行います。
また、重症なアレルギー反応である「アナフィラキシー」を起こしたことがある方には、再発時にすぐに対応できるよう、「エピペン」と呼ばれるアドレナリンの自己注射薬を処方し、常に携帯していただきます。
エピペンは、緊急時にご自身や周囲の方が使用できる安全性の高い注射薬で、適切に使用することで、重篤な症状の進行を抑えることができます。

Q 食物アレルギーは、他のアレルギーと関連することもありますか?

はい、他のアレルギーと関連して発症するケースもあります。
代表的なものに、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)があります。花粉症の方が、特定の果物や野菜を食べた際に、口の中のかゆみや違和感、腫れなどの症状を起こすアレルギーです。
原因となる花粉の成分と、果物・野菜に含まれる成分の構造が似ているため、体が誤って反応してしまうためです。
特にハンノキ、イネ科、ブタクサなどの花粉症がある方では、リンゴ、メロン、桃、スイカなどさまざまな果物や野菜で症状が出る可能性があります。
また、ペットや虫刺されがきっかけとなって起こる食物アレルギーもあります。
たとえば、猫アレルギーのある方や、犬の散歩中などにマダニに咬まれ、マダニの唾液に対するアレルギーのある方は、豚肉や牛肉、他のお肉でアレルギー症状が出るようになることがあります。
このように、食物アレルギーは食べ物だけが原因ではなく、他のアレルギーと関係して発症することがあります。

Q お肉のアレルギーにつながることがあるとは、意外です。食物アレルギーは日常生活や身の回りの環境とも深く関わっているのですね。

これからの生活環境の変化によって、今後も新たなアレルギーが増えていく可能性があるかもしれません。私たち一人ひとりが、正しい知識を持ち日常の中でできる対策を心がけることが大切です。

当記事は、令和5年10月6日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。