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医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに

医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第22回は、森 管理栄養士に「食物アレルギー」についてインタビューしました。

第22回
食物アレルギーについて
森 管理栄養士

Q 食物アレルギーについて詳しく教えてください。

食物アレルギーと聞くと、卵アレルギーなどを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
私たちの体内には、外からの細菌やウイルスから身を守るために、抗体と呼ばれる免疫物質が存在しています。ところが、この抗体が食べ物にも反応してしまうことがあり、この過剰な免疫反応のことを食物アレルギーといいます。食物アレルギーは食べたときだけでなく、人によっては触れただけで症状が出てしまう方もいますので注意が必要です。

Q アレルギー症状には、どのようなものがありますか。

症状は大きく4つのタイプに分かれます。

  1. 即時型症状
    食物アレルギーの最も一般的なタイプです。原因となる食べ物を食べてから2時間以内に蕁麻疹・咳・腹痛などの症状が現れ、時には血圧の低下・意識障害などのアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
  2. 口腔アレルギー症候群
    原因となる食べ物には、豆・野菜・果物があります。口の中がチクチクする、喉がイガイガする、喉の奥が狭くなり呼吸がしにくくなる、といった症状が現れます。
  3. 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
    食後2時間以内に運動することにより、アレルギー症状が出てしまうタイプです。運動のほかにも、睡眠不足・疲労などのストレス・風邪・ホルモンバランスの乱れ・入浴・飲酒なども原因となることがあります。
  4. 乳児アトピー性皮膚炎の悪化
    乳児のアトピー性皮膚炎の症状が、食べ物によって悪化するタイプです。卵・牛乳・小麦などが原因になることが多く見られます。

Q アナフィラキシーショックについて教えてください。

アレルギー症状の中でも特に重い症状で、命に関わる危険なアレルギー反応です。原因となる食べ物を食べてから数分~2時間以内に症状が現れる事が多く、すぐに処置が必要になります。
全身の蕁麻疹の発症に加え、次の症状が見られる場合はアナフィラキシーショックの可能性があります。

  • 我慢できないような腹痛
  • 繰り返す嘔吐
  • 胸の締め付け
  • 息がしにくい
  • 意識が朦朧とする
  • 唇や爪が青白くなる
  • 急な血圧の低下

最初は軽い症状に見えても、一気に重症化することもあります。アレルギー症状が現れた場合は注意深く観察し、必要であれば救急車を呼ぶようにしてください。

Q たまに牛乳で下痢などの症状が出てしまう方がいますが、これもアレルギー症状なのでしょうか。

もちろん牛乳に対してアレルギーを持つ方もいます。
ただし中には、牛乳に含まれる糖分「乳糖」を分解する酵素を体質的に持っていないために、乳糖をうまく分解できずに下痢などの症状が出てしまう方もいます。これは「乳糖不耐症」と呼ばれ、免疫反応ではなく消化吸収の問題によって起こるものです。食物アレルギーと間違われやすい症状のひとつです。

Q 病院での食物アレルギーの対応を教えてください。

食物アレルギーは、本来の治療スケジュールに影響する可能性があるため、入院前に必ず確認させていただきます。入院中のお食事についても、アレルギー食品が混入しないよう、管理栄養士と調理師が連携し注意を払いながら調理・配膳を行っています。
外来ではアレルギー検査を実施しているほか、数日間入院し医師の管理のもとで食品を実際に食べ、アレルギー反応が出るかを確認する「負荷試験」も行っております。

Q アレルギーについて注意点などあれば教えてください。

最初にご説明したとおり、アレルギー症状は人によっては触れるだけでも症状が出てしまう場合があります。特に小さなお子さんが食物アレルギーをお持ちの場合、お子さんが誤ってゴミ箱の中身に触れてしまうことも考えられます。原因となる食べ物をできるだけ家庭内に持ち込まないようにしましょう。
また、加工食品には原材料が表示されています。食品表示法により、アレルギーの原因となる「たまご・乳・小麦・そば・えび・かに・落花生・くるみ」の8品目の表示が義務付けられています。そのほかにも表示が推奨されている「ごま・さば・大豆など」の20品目もありますので、お買い物の際に確認してみてください。

当記事は、令和7年2月28日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。