医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第20回は、柿沼 作業療法士に「肩こりの原因を探り、自分の生活を見つめなおしてみましょう」についてインタビューしました。
Q 肩こりに悩んでいる方は多くいらっしゃると思います。どうして肩こりになるのでしょうか。

人間の体の構造上、肩には大きな負担がかかっています。片腕の重さは体重の約8%、頭部は体重の約10%の重さがあるといわれており、合わせると約15~6㎏の重りを首や肩で支えていることになります。
また、肩こりは自律神経も関係しています。自律神経の乱れなどにより交感神経が優位になると、血管が収縮し血流が悪くなり、肩こりが生じます。逆に自律神経が整うと肩こりの緩和につながります。
ストレスを溜めない、適切な休息をとる、運動習慣をつけるなど、日常生活において気を付けていく事で、肩こりを予防することができます。
また、スマートフォンの使いすぎも肩こりや姿勢が悪くなる原因になりますので注意が必要です。
Q スマートフォンの使いすぎはなぜ姿勢が悪くなるのでしょうか。

スマートフォンやパソコンを使用するとき、どうしても首が前に突き出した姿勢になりやすくなります。特に、使い慣れていない方はじっと画面を見つめる時間が長くなりがちです。 このような姿勢で長時間スマホを使うと、首の骨である頚椎に負担がかかり、頚椎本来の緩やかなカーブが失われてしまい、ストレートネックと呼ばれる状態になることがあります。 ストレートネックになると頚椎に負担がかかり、頚椎の関節と関節の隙間が縮まり、神経が圧迫されることで、肩こりの原因の一つとなります。
Q 良い姿勢とはどのような姿勢なのでしょうか。
自然にまっすぐ立った時、「耳の穴」、「肩の中央」、「骨盤」、「膝」、「くるぶし」を結んだ線が一直線に並んでいるのが理想の姿勢です。自分でまっすぐ立った姿勢を、他の方に見てもらいましょう。スマートフォンなどで写真を撮ってもらうと分かりやすいかもしれません。前かがみになっていたり、体を反らしすぎていないかチェックしてみましょう。 ご自身でチェックする場合は、壁を背にして立ち、「気を付け」の姿勢をとりましょう。そして、「かかと」、「お尻」、「肩甲骨」、「後頭部」の順に壁にくっつけてみてください。特に意識せず自然と壁につけることができますか?常日頃から良い姿勢を保てていれば、問題なく出来ると思います。
Q 良い姿勢を保つために、普段の生活で気を付けることはありますか。
良い姿勢を保つためには、日常生活のちょっとした工夫が大切です。次のポイントを意識してみましょう。
- 同じ姿勢を長く続けることは避ける
デスクワークではこまめに休憩を入れ、ストレッチするなど筋肉を動かしましょう。 - 入浴する時は湯船に浸かるようにする
入浴すると血行が良くなり筋肉がほぐれやすくなります。 - 精神的な緊張を緩和し、リラックスする事を心掛ける
ストレスや緊張は筋肉のこわばりにつながります。深呼吸や軽く体を動かすことで気持ちをほぐし、リラックスする習慣を意識しましょう。
- 適度な運動を継続する
腕を振ってウォーキングすることも肩こり予防に繋がります。普段から運動する習慣をつけましょう。 - バッグを持つ際は、片側だけでなくバランスを意識する
女性に多いのですが、バッグを持つ際に、どうしても利き手側に偏りがちです。たまに反対側の肩にかけてみるなどして、意識してバランスよく持てるようにしましょう。 - 首回りを冷やさない
寒いと背中が丸まってしまい、筋肉がかたくなりがちです。首の周りには太い動脈があります。マフラーやネックウォーマーで普段から冷やさないようにすることで、凝りや痛みの予防につながります。
Q 簡単なストレッチなどあれば教えてください。
仕事中でも実施しやすい簡単な運動をご紹介します。もし、痛みやしびれを感じたときはすぐにやめてください。ストレッチは痛みのない範囲で継続することが大切です。 また、息を止めるほど力を入れないよう注意してください。筋肉が伸びている感じが気持ちいいと感じられる程度にしてください。
仕事中でもできる簡単ストレッチ
- 肩をすくめてストン!
両肩をぐっとすくめるように上げ、3秒ほど筋肉に力を入れてストンと力を抜きます。これを5回繰り返します。肩を上げるときに息を吸い、脱力するときに息を吐きましょう。ぐーっ、ストン、ぐーっ、ストンのイメージでやってみてください。 - 胸を広げるストレッチ!
背中側で両手を組んで、身体から徐々に離していきます。左右の肩甲骨をぐっと寄せるイメージです。胸や腕の付け根が気持ちよく伸びている状態で30秒ほど続けます。ゆっくりと呼吸するようにしましょう。この運動は椅子の背もたれがあると腕がぶつかってしまうので、浅く座るか、背もたれがない椅子に座って行ってください。 運動は継続することが大切です。気付いた時にやってみてください。
Q 肩こりを予防するには普段の生活を見直すことが大切ですね。
現代人の生活と肩こりは、切っても切り離せない関係にあります。肩こりになってから対処法を考えるのではなく、肩こりにならないよう予防することが大切です。 日常生活を見直し、肩こりの原因になる習慣がないか考えてみましょう。よりよい生活のために正しい姿勢を意識しストレッチを続け、肩こりを予防していきましょう。
当記事は、令和7年2月21日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。