医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第25回は、菊池 診療放射線技師に「マンモグラフィ」についてインタビューしました。

Q 「診療放射線技師」について、どのようなお仕事をされているのか教えてください。
診療放射線技師は、医師の指示のもと、放射線を用いて検査や治療を行っています。
具体的には、レントゲン撮影と呼ばれている「X線検査」、体内の断面図を撮影する「CT検査」、磁気を利用して体内を撮影する「MRI検査」を担当します。
また、微量の放射性物質を用いて病気を診断する「ラジオアイソトープ検査」や、がん細胞を破壊する「放射線治療」も診療放射線技師の仕事です。
Q 菊池さんはどのような業務を担当されているのでしょうか。
主にX線撮影やMRI検査を担当しており、その中でも特殊なX線撮影検査である「マンモグラフィ」も担当しています。
Q 「マンモグラフィ」とはどのような検査なのか教えてください。

マンモグラフィとは乳房専用のX線撮影検査のことです。
触っても「しこり」が分からない初期の乳がんは、石灰化と呼ばれるカルシウムの沈着を伴うことがあります。マンモグラフィは、この石灰化を見つけることに特に有効で、乳がんの早期発見につながる検査です。
検査の際は、乳房を圧迫板と呼ばれる透明な板で挟み、薄く伸ばした状態で撮影します。斜め方向と上下方向から、左右の乳房をそれぞれ行うため、合計4回の撮影をします。撮影時間は片方の乳房につき数秒から10秒程度かかります。撮影中は鮮明な画像得るため、動かないよう息を止めていただきます。検査は通常10分ほどで終わります。
直接乳房に手で触れて検査を行うため、当院で行うマンモグラフィ検査は全て女性技師が担当しています。
Q 検査のとき、痛みは伴うのでしょうか。
個人差はありますが乳房を圧迫して検査を行うため、「痛い」といわれる方は少なくありません。
とくに若い方や乳房が固い傾向にある方、筋肉質の方は痛みを感じやすい印象です。月経前など乳房が張っている時期も痛みが生じやすくなるため、その時期は避けた方がよいでしょう。
乳房の痛みが少ない月経開始7日から10日後が、マンモグラフィに最適な時期と言われています。
また、体に力が入っていると、より痛みを感じやすくなります。出来るだけリラックスすることが大切です。どうしても痛みが強く、耐えられない場合は、遠慮なく担当技師へお声かけください。圧迫を緩めて調整することも可能です。
Q なぜ乳房を圧迫するのでしょうか。
乳房を圧迫するのは、乳腺と呼ばれる組織を伸ばすためです。この乳腺組織に、がんなどの病気が発生します。乳房を薄く伸ばすことで、正常な乳腺組織の重なりが少なくなり、病変をより見つけやすくなります。
他にも、圧迫する理由として、乳房がしっかり固定されるため身体や呼吸による動きを抑えられること、乳房が薄くなるため放射線の被ばく量を抑えられるなどの効果もあります。
Q どのくらいのペースで検査を受けるのがよいのでしょうか。

日本では、厚生労働省が40歳以上の女性に、2年に1回の乳がん検診を受けることを推奨しています。この検診は「対策型検診」と呼ばれ、検査費用の一部が自治体から助成されるため、自己負担が比較的少なく受けることができます。
また、乳房を自分で見たり触ったりするセルフチェックも乳がん早期発見に有効です。月1回程度行うことをおすすめします。 乳房にしこりがある、乳頭から分泌物が出るなどの症状がみられる場合は、乳腺専門の医療機関を早めに受診してください。
※自治体によっては30代の方にも助成が適用される場合がありますので、詳しくはお住まいの市町村の保健センターなどにお問い合わせください。
Q マンモグラフィ検査を受ける前に注意することはありますか?
妊婦の方は、胎児へのX線被ばくを防ぐため検査を受けられません。
他にペースメーカーを装着されている方やポートの埋め込みをされている方は、乳房圧迫で位置がずれる可能性があるため、検査ができない場合があります。さらに、豊胸手術を受けている方も内容物が破損する恐れがあるため注意が必要です。
いずれの場合も、必ず検査前に担当医師または撮影技師にお申し出ください。 それ以外でもご不安な点などありましたら、お気兼ねなくご相談ください。安心して検査を受けていただけるよう対応させていただきます。
当記事は、令和5年6月30日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。