医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第18回は、川見 渉外・保安室室長に「来院者や職員の安全・安心確保への取組」についてインタビューしました。
Q 水戸赤十字病院の「渉外・保安室」では、どのような仕事をしていますか。
渉外・保安室では、院内での事件や事故を未然に防ぎ、不測の事態が発生した際には適切に対応できるように取り組んでいます。具体的には、防犯訓練の実施などを通じて、来院者や職員の安全・安心の確保に努めています。当室は令和5年度の組織改正に伴い新設された部署で、私を含め2名で日々の業務にあたっています。
Q 全国の病院で発生している犯罪の現状を教えてください。
全国の医療機関では、救急搬送された患者による暴力行為などが発生しています。
2023年11月には、水戸市内の病院で診察中の医師に患者がスプレーを噴射する事件も発生しました。こうした状況を踏まえ、私たちも常に緊張感を持ち、安全・安心を守るため業務を遂行しています。
Q その他、病院で懸念されていることはありますか。
医師や看護師など医療従事者に対する暴言・暴力、迷惑行為などの「ペイシェントハラスメント」が起きないよう注意しています。こうした行為は人権や尊厳に大きく影響するだけでなく来院者の皆さまにもご迷惑やご心配をおかけすることになりますので、未然に防ぐことが大変重要だと感じています。
Q 来院者や職員の安全・安心を確保するために、どのような取組を行っているのでしょうか。
私たちの取組を3つご紹介させていただきます。
- 「見せる巡回」の強化
私たち保安要員が「防犯腕章」を着用して院内・外の巡回を強化し、目に見える形で存在を示すことで犯罪の抑止効果を高め、事件・事故の発生予防に努めています。 - 防犯訓練の実施
所轄の警察署などにご協力をいただき、実際の事例をもとにした防犯訓練を実施しています。また、外部の講師による防犯講話を開催し、職員の防犯意識の向上に努めています。 - 防犯用設備の見直し・再整備
防犯カメラは、犯罪の発生を防ぐうえでとても効果的です。 そのため、防犯カメラの設置場所を見直したり、新たに必要な場所には設置を推進しています。
また、院内に設置されている「非常通報装置」をリニューアルし、看護師が実際に通報装置を操作し、警察からの折り返し電話への対応訓練を行うなど不測の事態に適切に対応できるように備えています。
Q 防犯訓練の内容について詳しく教えてください。

2023年の防犯訓練は「病院に対し不満を抱く者が押しかけ、院内に居座っている」との想定で訓練を実施しました。
当院には私たち保安要員のほかに、暴言・暴力、迷惑行為に対応する職員が指定されており、警察官到着までの間、院内に居座っている人物への対応や来院者の避難誘導などの訓練を実施しました。
2024年と2025年は、茨城県警察の剣道名誉師範などによる護身術の訓練や刺又(さすまた)の使用訓練を実施し、多くの職員が参加しました。その後に防犯講話を受講し、防犯意識の向上に努めました。
Q 訓練に参加した職員の反響はいかがでしたか。
訓練に参加した職員からは、「手をつかまれた際に対応する方法などを直接指導してもらえて大変役にたった。」「指導にあたってくれた方々の説明は大変わかりやすく、楽しく訓練に参加できた。」などの感想がありました。
Q なぜ、このような取組を推進しているのでしょうか。

事件や事故を未然に防ぐためには、職員一人ひとりが高い防犯意識を持つことが大切です。 万が一発生した時は、来院者や職員の安全を守りながら適切に対応することが大変重要だと考え、防犯訓練などを実施しています。防犯に対する意識を高め、より実践的で効果的な訓練となるように内容を検討しながら引続き実施していきたいと考えています。
病院の安全を確保することにより、安心して来院していただき、地域に愛され信頼される病院の一助になればと思い取組を推進しています。
Q 最後に、来院される皆さまへ伝えたいことはありますか。
最近、落とし物や忘れ物が大変増えております。
身の回り品をよくご確認いただき、病院で「落としたかも」「忘れたかも」と思った際には平日、遠慮なく渉外保安室までお問い合わせください。よろしくお願いいたします 。
当記事は、令和7年2月14日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。