文字サイズ
背景色の変更
新着情報

医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに

医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第17回は、柳橋 皮膚・排泄ケア認定看護師に「皮膚トラブルのスキンケアとスキンテア」についてインタビューしました。

第17回
皮膚トラブルのスキンケアとスキンテア
柳橋 皮膚・排泄ケア認定看護師

Q 「スキンケア」と「スキンテア」似ている言葉ですが何が違うのでしょうか。

「スキンケア」と「スキンテア」、似ている言葉ですが意味は全く違います。「スキンケア」というと、お顔のお手入れを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「スキンケア」はお顔に限らず、入浴時に皮膚をきれいに洗い清潔を保持したり、乾燥した際に保湿クリームを塗ったり、皮膚の健康を維持するケアを「スキンケア」といいます。
一方、「スキンテア」とは皮膚裂傷のことで、摩擦などで腕や足などの皮膚が破れ、はがれてしまう状態をいいます。皮膚は3層でできています。皮膚の一番外側が「表皮」、その下が「真皮」、真皮の下が「皮下組織」でできています。2つ目の層の「真皮」まで損傷が及んだものを「スキンテア」といいます。真皮は神経が集まる部分のため、「スキンテア」は非常に強い痛みを伴います。

Q スキンテアはどのような方に発生していますか。

スキンテア保有者の平均年齢は79.6歳といわれており、皮膚が弱った高齢者に多く発生しています。入院されている高齢の患者さまにも多く発生しています。
加えて、以下の方は「スキンテア」が発症しやすいとされています。

  • 内服薬や軟膏でステロイドを長期間使用している方
  • 血液をサラサラにする抗凝固剤を内服されている方
  • 抗がん剤治療中の方
  • 人工透析を行っている方
  • 放射線治療中の方
  • 屋外作業の仕事などで長い時間日光にさらされていた経験のある方
このような方は発生しやすいので特に注意が必要です。

Q スキンテアはどのようなときに起きるのでしょうか。

最も多いのは、保護などに使用したテープをはがす際に皮膚も一緒に裂けてしまうケースです。次に多いのは転倒です。転んだ際に手足を擦ったり、ぶつけることなどで起きています。
特に抗凝固薬(血液をサラサラにするお薬)を内服されている方は、軽くぶつけただけでも内出血が起きやすく、その部分の皮膚が弱くなっているため軽い力が加わるだけで「スキンテア」が発生しやすくなります。
また、介助のときに腕や足を持ち上げたり、つかんだりしても発生します。着替えの際の「衣服の摩擦」などでも発生しますので、介護や医療の現場だけでなく、ご自宅でも発生しやすいといえます。
日頃から腕や足に傷ができやすいと思っている方、自分は怪我しやすいと思っている方、実はスキンテアかもしれません。

Q スキンテアの予防法はありますか。

しっかり食事をとり、脱水を防ぐため水分を十分にとりましょう。
また、家具などのぶつかりやすい部分や角にはカバーをつけましょう。院内でも、ベッド柵にカバーをつけたり、車椅子の足をのせる部分(フットレスト)にカバーつけたりしています。つまずいたり転倒しやすい方は、手すりや支えになるものがあると良いでしょう。
皮膚の露出を避けるために、アームカバーを着用したり、膝下まで覆う靴下やズボンを履いたり、レッグカバーなどの使用もおすすめです。特に露出の多い夏場は、アームカバーなどで保護することで予防することができます。またアームカバーやレッグカバーの素材は肌触りが柔らかく、伸縮性を備えているものを選択すると良いと思います。院内でもスキンテアが起きやすい患者さまへアームカバーやレッグカバーを紹介しています。
介助する方は、直接腕や足などをつかまないことも大切です。下からそっと支えるように腕や足を保持すると皮膚への負担が軽減されます。
あわせて、キズができにくい皮膚を保つことも大切ですので、「スキンケア」も重要です。まず皮膚を洗う際は、泡状に泡立てた石鹸を使い手のひらでやさしく洗いましょう。ナイロンたわしなどの使用は控えてください。入浴の際は、保湿効果のある入浴剤を使用したり、上がり湯にも保湿効果のある入浴剤を加えて使うことも良いと思います。そして、入浴後は全身の保湿をしっかり行いましょう。1日2回、乾燥が気になる時は2回以上の保湿をおすすめします。保湿剤は伸びのよいローションタイプを用い、毛の流れに逆らわず、押さえるように塗ると良いでしょう。また冬の時期は、乾燥しやすいので室内の湿度を調整することも効果的です。
なお、テープをはがす際にスキンテアが最も多く発生しています。テープ類を貼ることは最小限にしましょう。日頃のケアで予防ができますので、是非生活に取り入れてみてください。

Q スキンテアが起きてしまったらどうしたらよいですか。

出血している場合は、清潔なガーゼなどで押さえて止血しましょう。そのあと、水道水でキズを洗い流し、汚れを落とします。破れた皮膚が残っていればそっと元の位置に戻します。うまくいくと破れた皮膚がそのまま整復されることがあります。痛みも軽減し、治るまでの期間も短くなります。「スキンテア」が発生した部分はワセリンを塗布し、キズに貼りつきにくいガーゼをあて、包帯などを巻き、皮膚科を受診すると良いでしょう。ガーゼをテープで止めると、そのテープによる「スキンテア」が起きる可能性がありますのでご注意ください。「スキンテア」を治療した後は、保湿などの「スキンケア」をしっかり行い、皮膚の露出を避けるなど「スキンテア」を予防していきましょう。

当記事は、令和7年2月7日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。