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医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに

医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第16回は、白石 感染管理認定看護師に「感染症」についてインタビューしました。

第16回 感染症について
白石 感染管理認定看護師

Q 感染はどのように起きるのでしょうか。

感染は、病原性のあるウイルスや細菌に接触したり、咳やくしゃみなどの飛沫を浴びたり、また空気中のウイルスなどを吸い込むことにより起こります。動物や虫を介して感染することもありますが、いずれの場合も「触れる」「浴びる」「吸い込む」ことによって感染します。
接触による感染を防ぐためには手洗いが、飛沫感染を防ぐためにはマスクやゴーグルの着用が有効です。また、病原体を吸い込むことによる感染を防ぐためには、密閉・密集した空間を避けることが大切です。

Q 感染予防の方法として、マスクの着用は効果的でしょうか。

マスクは、感染している方が着用することにより飛沫の拡散を防ぐことができるため、感染予防として効果的です。痰や唾液などには、菌やウイルスが含まれているため、咳やくしゃみによって飛沫が飛び散ると、感染を広げる可能性が高くなります。マスクを着用し、ウイルスの拡散を防ぐことが、感染予防に有効といえます。
予防という観点では、マスクの着用のみでは感染対策は不十分です。マスクは、鼻と口が飛沫を浴びることを防ぐことはできますが、目に飛沫が入ることを防ぐことはできません。
また、マスクと顔の間に隙間があると小さな粒子のウイルスなどの侵入を防ぐことは難しく、十分な効果が得られない場合があります。
しかし、人は無意識のうちに目や鼻に触れることがあるため、マスクを着用することで直接口や鼻に触れることを防ぐことができ、ウイルスや菌に触れる機会を減らせることができ効果的であるといえます。
マスクは、ワイヤーを鼻の形に合わせ、ひだ(プリーツ)を顎まで広げ鼻と口をしっかりと覆うようにしてください。

Q 手洗いも効果的でしょうか。

手洗いも感染防止にとても重要です。目に見える汚れがなければきれいだと思いがちですが、手にはウイルスや細菌が付着している可能性があります。ウイルスや細菌が付着した手で物や人に触れると、接触した箇所が菌に汚染され汚染箇所が広がっていきます。さらにその汚染された場所を別の人が触れることで、汚染が広がっていくことになります。手洗いを行うことで、手についた菌やウイルスを洗い流し汚染の拡大を防ぐことができます。
医療現場でも、手洗いは感染対策の基本です。アルコール消毒などによる方法と石鹼と流水による手洗いの方法があります。どちらでも問題ありませんが、正しい手洗いを行わなければ十分な効果は得られません。
アルコールなどの消毒液は、スーパーの入り口などに設置されており、使用する機会は多いと思います。病院にも設置していますが、正しく消毒できている方は、少ないように感じます。
たとえば、お菓子などを食べるときは手でつまみますし、顔などを掻いたりするときも指先を使うと思います。アルコールを使用する際、指先までしっかりと消毒できているでしょうか。指先まで消毒できていなければ「汚れたままの手」ということになります。アルコールを手に取ったら指先までしっかりとアルコールをつけ、指の間、手首まで忘れずに擦りあわせてください。
石鹸と流水での手洗いも同じです。洗った後は、必ず手を乾燥させましょう。濡れた手は菌が付着しやすいため、タオルで拭き取ったり、エアータオルで乾燥させることが大切です。また、同じタオルを繰り返し使うのは避け、こまめに交換するようにしましょう。

Q 毎年インフルエンザの流行が懸念されますが、どのような点を注意したらよいでしょうか。

インフルエンザの主な症状は、関節痛や急な発熱や頭痛などです。症状が現れてから2日以内に受診されることをお勧めします。しかし、発症後すぐに検査を行うと陰性となる可能性がありますので、受診のタイミングはご注意ください。
インフルエンザの治療薬には、内服タイプや吸入タイプなどがあり、ウイルスの増殖を抑える作用があります。ウイルスの量は、症状が出てから2日目で最大となり、徐々に減少していきます。そのため、発症してから2日以内に内服することが効果的です。あわせて、水分補給と十分な休息をとることも重要です。
インフルエンザに限らず、咳やくしゃみにより感染が広がる感染症に対しては、「咳エチケット」の実施をお願いします。咳やくしゃみの飛沫には、ウイルスや細菌を含んでいる可能性があります。
「咳エチケット」は、咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、または袖を使い、口や鼻を覆うことです。何もせずに咳をしたり、手で覆うことは避けた方がいいでしょう。特に電車や職場、学校など人が集まる場所では、周囲への配慮としてぜひ実践してみてください。
また、鼻水をかんだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、その後速やかに手を洗いましょう。
最後に、病院を受診する際のお願いです。発熱、下痢、嘔吐などの症状は、他の方へ感染させるリスクがあります。感染により重症化する患者さまもいらっしゃいますので、まずはお電話にてご連絡いただきますようご協力をお願いいたします。

当記事は、令和7年1月24日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。