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医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに

医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第4回は、大槻 管理栄養士に「食中毒」についてインタビューしました。

Q 今回のテーマは「食中毒」ですが、改めて食中毒とはどんなものか教えてください。

食中毒とは食べ物を通して摂取された病原体やその毒素などにより起こる胃腸炎症状などの健康被害をいいます。代表的なものではサルモネラ菌などの細菌性のものやノロウイルスなどのウイルス性の食中毒が挙げられます。その他には寄生虫や有害な化学物質、自然毒などが原因となることもあります。

Q ひとくちに食中毒といっても様々なものが原因となっているのですね。
食中毒というとジメジメした季節や夏にかかりやすいイメージがあります。

細菌性の食中毒は6月から8月の暑い季節に多く発生しますが、ウイルスが原因となる食中毒は冬場の11月から3月に多く発生する傾向にあります。全国の食中毒の発生件数は毎年800~1,000件程度、患者数は約10,000人の規模で発生しています。茨城県では毎年10件程度、患者数は約100人の方が被害にあっています。全国的な件数を見ると、魚に寄生しているアニサキスが最も多く、次いで主に鶏肉が感染源となる細菌のカンピロバクター、そしてノロウイルスが多い傾向にあります。患者数で見るとノロウイルスによるものが約3~5割と最も多く、感染力の高さがうかがえます。2024年の夏は川の水により、多数のノロウイルス感染者が発生したニュースも話題となりました。

Q ノロウイルスの症状や原因となる食べ物にはどのようなものがありますか?

主な症状としては、下痢、吐き気、おう吐、腹痛、発熱などで通常は1~3日程度で回復します。ノロウイルスは食事から発生する“食中毒”と人から人へと感染する“感染症”という2つの顔を持っています。原因となる食べ物としては加熱が不十分な牡蠣・二枚貝、そして感染した人が調理などをして汚染された食品による二次感染が挙げられます。

Q ノロウイルスの対策を具体的に教えていただけますか?

ノロウイルス食中毒予防の4原則を実践しましょう。まず1つ目はキッチンにウイルスを“持ち込まない”です。手洗いや日々の健康管理を心がけること、そして、下痢などの症状があるときは、食品を直接取り扱わないようにして、キッチンにウイルスを持ち込まないようにしましょう。また、ノロウイルスに感染後、症状がなくなってもウイルスは1週間から1か月程度の期間、糞便中に排出されるので、体調が回復したとしても衛生管理には十分注意しましょう。

Q まずは持ち込まないことが大切なのですね。2つ目・3つ目はどうでしょう?

2つ目はウイルスを“つけない”です。食品や食器、調理器具などにノロウイルスを付けないように、「手洗い」をしっかりと行いましょう。
手を洗うタイミングとしては、トイレに行った後や調理に入る前、手の洗い方としては石けんを使用し汚れの残りやすい指の間や親指の付け根も丁寧に洗いましょう。
3つ目はウイルスを”やっつける”です。食品に付着したノロウイルスを死滅させるために、しっかり火を通しましょう。
また、調理器具は洗剤で十分に洗浄した後に、熱湯または塩素消毒液に浸して消毒しましょう。

Q 十分火を通してウイルス自体をやっつけることが大切なのですね。では、最後の4つ目を教えてください。

4つ目はウイルスを“ひろげない”です。ノロウイルス感染が身近で起こったときには、食器や生活環境などの消毒を徹底しましょう。感染者のおう吐物やおむつ等を処理するときは、二次感染を予防するためにマスクやビニール手袋を使うなど十分注意し、床などを拭くときには、薄めた塩素消毒液を使いしっかり消毒しましょう。
また、ノロウイルスに限らず基本的な食中毒対策として、食品を購入するときは肉・魚は分けて包んだり、自宅に帰ったらすぐに冷蔵庫へ保管することなども大切です。

Q ノロウイルスを持ち込まない、つけない、やっつける、ひろげない、これで対策はバッチリです。最後に病院では食中毒に対してどのような対策をされていますか?

当院では“大量調理施設衛生管理マニュアル”に準じた衛生管理を行っています。


  • 調理従事者や同居する家族を含めた健康チェックを毎日記録する。
  • 生鮮食品は冷蔵庫にて保管し、定期的に庫内温度が適正になっていることを確認後記録する。
  • 加熱調理時は中心温度が85度以上となるまで加熱し記録する。

などの衛生管理を徹底し、患者さまに安心・安全な食事を提供できるよう、努めています。

当記事は、令和6年10月25日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。