医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに
医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第1回は、院長の野澤英雄に「水戸赤十字病院とダビンチ手術」についてインタビューしました。
Q まずは水戸赤十字病院について教えてください。

はい。当院について簡単にご紹介します。当院は、2023年に創立100周年を迎えた歴史ある総合病院です。特徴は大きく3つあります。まず、がん診療指定病院として、年間1,000人以上のがん患者の診療を行っています。また、2013年から手術支援ロボット「ダビンチ」を導入し、患者さまの身体的負担が少ない手術を実施するなど、県央地域の中核病院の役割を果たしています。2つめは、地域周産期母子医療センターとして、リスクのあるお産を含め安心して妊娠出産ができる環境を整えています。3つめは、災害拠点病院として、災害時の医療提供や地域の医療機関へ支援を行っています。さらに近年では、HCU(高度治療室)の新設や遺伝カウンセリング外来の開設など時代のニーズに即した病院づくりを進めています。また、最新の放射線治療機器を備えたリニアック棟も昨年新たに増設しました。新リニアック棟では、患者さまにとって負担の少ない放射線治療を行うことができます。県庁所在地でもある医療需要は高く、このエリアで医療を完結したいという患者さんのニーズも高いです。その思いに応えなければならないという使命感を持って日々診療体制の強化に臨んでいます。
Q 手術支援ロボット「ダビンチ」について詳しく教えてください。
はい。当院の強みの一つであるロボット支援手術は、2013年から始まり、2025年3月には累計症例数が1,400件を超えました。遠隔操作のできるダビンチと呼ばれるロボット支援手術を幅広い領域で実施し、患者さまに体の負担が少ない治療を提供しています。現在当院では、泌尿器科、外科、産婦人科の手術においてダビンチ手術を導入しており、県内でも積極的に実施している医療機関の一つです。
Q ダビンチ手術というのは、具体的にどのようなものか教えてください。
まず内視鏡手術に使用されるロボットの名称がダビンチといいます。万能の天才レオナルド・ダビンチにちなんで名づけられました。手術支援ロボットのダビンチは、もともと1990年代に勃発した湾岸戦争の負傷兵士を本土や空母から遠隔治療するためにアメリカで開発された軍事用システムでした。湾岸戦争が予定より早く終結したため、軍事用から民間の開発に変わって現在の運用になりました。複雑な手術を容易に、そして低侵襲で安全な内視鏡手術を可能にしているのが手術支援ロボットダビンチです。ダビンチ手術では、お腹に開けた小さな穴に内視鏡カメラとロボットアームを挿入します。術者は、3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かします。その手の動きはコンピュータを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。視野は、3Dで拡大され、鉗子は最大540度動き、手振れしても制御され人間の指以上の動きをします。こういった緻密な手技を可能にするのが手術支援ロボットであるダビンチ手術なのです。
Q 患者さまについてのメリットなどを教えてください。

開腹手術に比べると、手術中の出血量が、極めて少ないのが大きな特徴です。そして切開するのは、鉗子を挿入する8から12ミリほどの幅になりますので、傷口も小さく痛みも少ないです。傷口が小さいため術後の回復が早く、入院期間が短く済み、早く社会復帰することができます。そのほか病巣の切除と排尿、性機能などの機能温存が両立でき、早期の回復と後遺症の少なさを実現しています。そして、当院のダビンチ手術は、全て保険適用されています。
Q 保険適用で患者さまの負担が少ないというメリットがあるのは嬉しいですね。それでは最後にひとことお願いいたします。
ダビンチ手術は、より繊細に安全に負担の少ない手術が期待できます。当院は、患者の皆さまが笑顔でいられるよう、一番良い形を提供することが大事だと考えます。2023年に創立100周年を迎えた水戸赤十字病院は、さらに次の100年に向けてこれからも地域の皆さまの期待に応えていきます。
当記事は、令和6年10月4日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。