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医療メディア水戸赤十字病院の今日もおだいじに

医療や病院にまつわる"ちょっと気になる耳寄り情報"を掲載していきます。
第7回は、形成外科の馬本医師に「しみって治る?いくらかかる?」についてインタビューしました。

Q 馬本先生は形成外科が専門ということですが、具体的にはどのような疾患を扱っていますか?

形成外科は、あまりなじみがない診療科かもしれません。わかりやすく説明しますと、ぱっと見て分かる体の表面の異常を治療するといえばピンとくるでしょうか。けがや生まれつきの異常による変形やできものを手術で治すことが比較的多いです。その一環で、しみやあざの治療をしています。
今回はとくに、老化によるしみについてお話ししたいと思います。

Q 最初に、しみについて教えてください。

しみの正式な名前は「老人性色素斑」といいます。、しみはお肌の変化により生じるもので薄茶色をしていて盛り上がりはほとんどありません。顔や頭、手足によくみられます。ほとんどの方が大人になってからできます。生まれつきあるものは「あざ」といいます。

Q どうしてしみができてしまうのでしょうか?

原因はやはり紫外線の影響が大きいと考えられます。患者さんのお話を伺っていると、対策をしているのに増えてしまうという方が多い印象です。おそらく若いころから蓄積されたお肌へのダメージが影響しているのだと思います。しみは、紫外線に対するお肌の防御反応なのかもしれません。

Q もう少ししみについて詳しく教えていただけますか?

お肌の構造、つくりを理解しておくとわかりやすいので説明します。お肌は簡単にいうと「表皮」と「真皮」の2つの層からできています。表面にあるのが、こするとあかが出る「表皮」という部分、その下にひろがるのが、お肌のハリを作るコラーゲンでできた「真皮」という部分です。さらに下には皮下脂肪があります。しみは一番上の「表皮」という部分に「メラニン」という黒い色素が増えた状態です。お肌じたいが色素を作りやすい状態になっています。こすっても取れません。

Q しみを作らないためには、どういった対策がよいのでしょうか。

紫外線に当たらないようにすることが大事です。しかし、すでにできてしまったしみには、残念ながらあまり効果がありません。私たちは、主にレーザー治療を行っています。レーザーにもたくさん種類がありますがしみにはルビーレーザーが有効で、私たちも使っています。

Q レーザーとはどういった治療なのでしょうか?

レーザーという言葉をご存じの方も多いと思います。簡単に説明しますと医療用レーザーは特定の色だけを破壊する光です。ルビーレーザーは黒い色だけを壊します。以前、いたずらで新聞にレーザーを当てたことがありますが、文字だけ消えて下の紙は全くの無傷だったのでおどろきました。しみの原因はメラニンという黒い色素です。レーザーを当てたときにまわりのお肌の構造はダメージが少なくてすみ、メラニンだけが壊れます。壊れたメラニンは1週間から2週間でかさぶたになってはがれおちて、きれいなお肌になります。

Q レーザーを当てたあとは何かケアが必要になりますか?

レーザーを当てると軽いやけどの状態になります。治療したお肌は、紫外線に反応して茶色い色素沈着をおこしやすくなっています。せっかくしみが消えたのに茶色くなってしまったら悲しいですよね。ですので、紫外線対策をしっかりするようにお伝えしています。また、再発を防ぐため、治療を行ったあとは3か月に1回通院して、ハイドロキノンクリームというものを塗ってもらうようにしています。これは新しくメラニンができるのを防ぐ効果があるといわれています。こちらは、半年は続けたほうがよいと思います。

Q しみについてよくわかりました。ところで、しみをとる場合の費用は、いくらくらいかかるのでしょうか。

みなさんがいちばん気になる部分かもしれませんね。最初の診察は健康保険が適用されますが、しみのレーザー治療になると健康保険がきかないので自費診療になります。費用はしみの大きさや個数などで変わるのでひとことでは説明し難いのですが、目安として100円玉程度の大きさのしみでおおよそ1万円程度です。それ以上は実際に見て判断させてください。ルビーレーザーはキズをほとんど残さずしみを治すとても優れた治療だと思います。しみでお悩みの方は、相談だけでも結構ですので、ぜひ水戸赤十字病院形成外科を受診してください。お待ちしています。

当記事は、令和6年11月15日のLuckyFM茨城放送「水戸赤十字病院の今日もおだいじに」をもとに制作しています。