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病院について

当院の特徴1がん診療指定病院

がん診療体制の充実

がんの診断・治療から終末期のケア、在宅復帰まで一貫した医療

当院は、2009年4月に茨城県がん診療指定病院として指定を受け、がん診療体制の充実を図ってきました。

外科手術、放射線治療、化学療法など複数の治療法を組み合わせる集学的治療や、ロボット支援手術の導入、手術や化学療法と一緒に受けることができる緩和ケアなど、幅広い治療を行っており、がんの診断・治療から終末期のケア、在宅復帰まで一貫した医療を行うことができます。

がんに関する相談支援や情報発信

がん患者さんとご家族の不安に寄り添う体制も整えています。緩和ケア外来・緩和ケア病棟を設置しており、心理面や社会的側面などを考慮しながら個々人の意向を尊重した総合的ケアを行っています。また、患者支援センターに窓口を設置し、専門の相談員が治療の不安や入院、費用面などの相談支援を行っています。さらに2023年2月からは、遺伝カウンセリング外来を開設し、遺伝性のがんをはじめとした遺伝に関する様々な悩みを支援しています。

これからも地域のがん診療の向上に取り組むとともに、がんに関する相談支援や情報発信を積極的に行い、地域の皆さまに必要とされる病院を目指します。

ロボット支援手術

ロボット支援手術の先駆け

ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ手術)とは、手術支援ロボットという機器を用いて行う内視鏡手術のことです。医師が操縦席からロボットを遠隔操作し、病変部位の摘出などはロボットアームが行います。医師にとっては、繊細な手の動きを再現するアームと、3Dの拡大画像の元で手術が可能になります。従来の手術と比べて、傷口が小さく出血や痛みが少ない、術後の回復が早い、機能温存が期待できるなど、患者さんにも大きなメリットがあります。

当院では、2013年9月から、泌尿器科においてロボット支援手術を導入しました。現在では、泌尿器科、外科、産婦人科の3つの診療科でロボット支援手術を行っています。安心して手術を受けていただくために、ロボット支援手術の専門研修を修了した医師と、専任の看護師・臨床工学技士でチームを組み、万全の態勢を整えています。手術は年々増加傾向にあり、2023年2月には累計1000症例を達成しました。

今後も、茨城県でのロボット支援手術の先駆けとして、適応分野を増やしながら、地域に求められる医療を提供していきます。

ロボット支援手術とは

今までの一般的な手術は、(1)開創手術、(2)腹腔鏡下手術に分けられます。
開創手術(=直視下に直接体内に手を入れ臓器を取り出す手術)は傷が大きくなり、相応の痛みや整容性の問題がありました。それらを軽減する目的で腹腔鏡手術(=お腹にガス(二酸化炭素)を注入して膨らませた状態にし、手術操作は小さなトンネルを介してカメラや操作機器によりすべて体外から行う手術)は発展してきました。腹腔鏡手術により格段に傷は小さく痛みも軽減されましたが、機器の操作性と2次元の画面構成(立体視ができない)の問題から手術手技は一定の熟練を要していました。

そこで登場したのがロボット支援手術です。術者は手術コンソールからロボットを遠隔操作し、手術の実際は小さなトンネルを通して体内に挿入されたロボットアームが行います。ロボットアームは術者の手の様に繊細に動き、手術コンソールからは3次元の拡大画像で術野を観察できます。

つまりロボット支援手術により、従来の腹腔鏡手術のメリットに加え、円滑な操作性と良好な視認性を併せ持つ手術が可能となりました。

ロボットアームの動きの実際

手術コンソールは最新のデュアルコンソール(2台のコンソール)が採用され、適切な手術の進行が補助され、教育的にも有用とされています。

当院で実施しているロボット支援手術について

当院では、以下の手術を保険診療で実施しています。

泌尿器科

  • 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術
  • 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術
  • 腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術

外科

  • 腹腔鏡下胃切除術
  • 腹腔鏡下噴門側胃切除術
  • 腹腔鏡下胃全摘術
  • 腹腔鏡下直腸切除・切断術
  • 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術
    ※令和6年12月1日から当院でも保険診療で実施可能となりました。

婦人科

  • 腹腔鏡下膣式子宮全摘術
  • 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)
  • 腹腔鏡下仙骨膣固定術

前立腺がんにおけるロボット支援手術

前立腺がんに対する前立腺摘除術も、従来は開創手術と腹腔鏡手術が行われていました。前立腺摘除術の最大の問題点は術後の尿失禁と性機能(勃起)障害で、従来の2つの手術方法ではその成績にあまり差がない状況でした。

しかしロボット支援手術の最大のメリットである緻密な操作性と視認性から、術後尿失禁と勃起障害の改善が期待されています。また、断端陽性率(=がんの取り残しの可能性)の低下も示唆されています。既にアメリカなどでは前立腺がんの標準的手術方法であり、日本でも2013年に、他科に先んじて保健収載されたロボット支援手術となっています。

ロボット支援前立腺摘出術の手術適応

  • 限局がん(早期がん)
  • 極端な前立腺肥大症(特に中葉肥大)がないこと
  • 腹部手術の既往(虫垂炎除く)がないこと
  • 体位(極端な頭低位)を踏まえ、症状の安定していない心臓・血管疾患、緑内障、呼吸器疾患がないこと。

※適応を含めた手術の詳細に関しましては、泌尿器科外来を受診していただき、医師からの説明を受けてください。

胃がんにおけるロボット支援手術

当院では2016年3月に茨城県初となる、胃がんに対するロボット支援手術を導入し、実績を重ねてきました。2018年度の診療報酬改定で4月より新たに胃がんに対するロボット支援手術が保険適用となり、当院でも保険診療にてダ・ヴィンチ手術を提供することが可能となりました。

ダ・ヴィンチを用いたロボット支援手術は、現在一般的に普及している腹腔鏡下手術と比較し、出血量が少ない、術後合併症が少ないなどの利点が報告されています。

ロボット支援下胃切除術は、胃がんに対する知識、手術手技、腹腔鏡手術に精通していることが重要で、当院では日本内視鏡外科学会の技術認定医及び消化器外科学会専門医で、ロボット支援手術の専門研修を修了した者が執刀します。

ダ・ヴィンチを用いた手術のご希望や、詳しい説明をお聞きになりたい方は、当院外科外来へお問い合わせください。 ※詳しい実績などは、こちらをご覧ください。

婦人科領域におけるロボット支援手術

2018年より症例実績を積み、2019年に保険診療での手術認定を受け、早期子宮体がんと子宮筋腫を初めとした良性子宮疾患について、手術を開始いたしました。安全な手術を患者さんに提供するため、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医がロボット支援手術の研修を受け執刀いたします。

詳しい説明や実績をお知りになりたい方は、当院婦人科外来へお問い合わせください。

ロボット支援手術実績

泌尿器科

腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 621件(集計期間 H25.9~R5.11)
腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術 42件(集計期間 H29.7~R5.11)
腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術 17件(集計期間 R3.4~R5.11)
腹腔鏡下尿管悪性腫瘍手術 4件(集計期間 R4.11~R5.11)

外科

腹腔鏡下幽門側胃切除術 156件(集計期間 H28.3~R5.11)
腹腔鏡下胃全摘術 23件(集計期間 H28.5~R5.11)
腹腔鏡下幽門保存胃切除術 16件(集計期間 H29.1~R5.11)
腹腔鏡下噴門側胃切除術 41件(集計期間 H30.5~R5.11)
腹腔鏡下直腸切除・切断術 24件(集計期間 R2.12~R5.11)

産婦人科

腹腔鏡下子宮全摘術 54件(集計期間 H30.9~R5.11)
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術
(子宮体がんに限る)
89件(集計期間 H30.11~R5.11)
腹腔鏡下仙骨膣固定術 51件(集計期間 R2.10~R5.11)